惑星大気研究会 (WTK)

惑星大気研究会とは

惑星大気研究会 (WTK) は, 惑星大気科学に関するさまざまな話題を議論する場です. 研究会とビデオ会議システムを用いたオンラインセミナーを行っています.

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オンラインセミナー第 115 回 2021 年 7 月 27 日 (火) (15:30-)

話題提供者
  • 青木 翔平 (宇宙研) 「ExoMars/NOMADで観測された火星水蒸気鉛直構造」
要旨

ESAの火星探査衛星ExoMars Trace Gas Orbiter(TGO)に搭載されたNadir and Occultation for Mars Discovery(NOMAD)は、2018年4月21日に科学観測を開始した。本セミナーでは、これまで約3年間のTGO/NOMAD科学観測から得られた、火星大気中の水蒸気鉛直分布の解析結果を紹介する。

NOMADは、ExoMars TGOに搭載された0.2~4.3μmの波長領域で動作する分光計である。NOMADには、太陽掩蔽が可能な赤外チャンネル(SO チャンネル)、Nadir/太陽掩蔽/リム視が可能な第2赤外線チャンネル(LNOチャンネル )、紫外・可視チャンネル(UVISチャンネル)と、3つのスペクトルチャンネルがある。赤外チャンネルは、回折次数を選択するAOTF(Acousto Optic Tunable Filter)とエシェル回折格子の組み合わせにより、高い波長分解能(λ/dλ~10,000~20,000)を実現し、太陽掩蔽観測から高高度分解能で水蒸気などの微量気体鉛直分布測定が可能となった。本研究では、SOチャンネルで取得した回折次数134(3011-3035cm-1)、回折次数136(3056-3080cm-1)、回折次数168(3775-3805cm-1)、回折次数169(3798-3828cm-1)の太陽掩蔽測定データから解析された水蒸気の鉛直分布を示す。

水蒸気鉛直分布の知識は、火星の水循環と散逸過程を理解する上で重要である。TGOに搭載された2つの分光器(NOMADとAtmospheric Chemistry Suite(ACS))による太陽掩蔽観測により、Ls= 20°毎の緯度分布を取得することが可能となった。2018年6月には、2007年以降では初めて、火星で全球規模のグローバル・ダストストームが発生し、2019年1月には強いリージョナル・ダストストームが発生した。NOMADとACSの観測は、これらの大部分をカバーしており、ダストストーム中の微量気体鉛直分布を調べる独創的なデータセットとなった。私たちは、2018年6月から9月中旬のグローバル・ダストストームと2019年1月のリージョナル・ダストストームの間に、中層大気(40-100km)における水蒸気の存在量が大幅に増加していることを発見した。特に、グローバルダストストームの際には、水蒸気が少なくとも100kmという非常に高い高度に到達してることを示した(Aoki et al., 2019)。GCMシミュレーションとの比較から、ダスト加熱による大気の昇温が氷雲としての凝結を抑制し、その結果水蒸気が中層大気にまで広がることを示した(Neary et al., 2020)。本セミナーでは、上記に加えて、火星年1年以上をカバーする最新のデータ解析結果を示す。これには、北極冠からの水蒸気の昇華や赤道雲帯の形成といった、興味深い現象を伴う遠日点シーズンが含まれており、これらは火星の水蒸気の南北半球の大きな非対称性を理解する上で重要な時期である。また、MY35の南半球夏季も含まれており、グローバルダストストームの年の水蒸気分布とそうでない年の水蒸気分布比較も示す。

研究会

現在企画中です.

その他

気象学会専門分科会「惑星大気研究の現状と展望:探査・観測と理論・数値研究」

  • 日本気象学会 2021 年度秋季大会日程
    • 2021 年 12 月 2 日 (木) ~ 12 月 8 日 (水)
  • 場所
    • 現地開催 (三重大学) とオンラインで行われる予定
  • 大会ページ

過去の研究会等の資料

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